(……そんな感じで言ったら気持ちがバレちゃうじゃんー!!)

ただでさえ、勘の鋭い直人が相手なのに。

「いや…知らなくても、困らないし……お互い」

つい思ってもないことを言ってしまうし。

「えーでもさ、例えば家で体調悪くなった時とか…伊澄ちゃんに電話して診断してもらってさ」

「伊澄ちゃんは主治医じゃないんだから(笑)」

土屋の下手なフォローにキノは呆れた。

「そうよ、私だっていつでもすぐ電話に出れるわけじゃ……」

(こんな言い方だと、あんまり交換したくないみたい……)

しかし、理由もなく教員から生徒にケータイ番号を聞くのも……

直人はヒノケン達と違って教師とは一線をひいている感じがする。

(すすんで交換なんかしたら、軽蔑されそう~…)

「いいよ」

「え?」

「交換しよ、伊澄ちゃん」

直人は自分のケータイを出した。

「いいの?」

(嫌がるかと思った)

「いや、伊澄ちゃんの番号しりたい」