言葉はなくても、考えていることはおそらく同じだった。

よりによって面倒な人間に見られてしまった………。

(直人は倫理観にうっせーからな…)

他の学校の連れだったら笑いあえる様な二股話だって、直人は真顔で"いつまでそんな面倒な事してんだよ、いい加減ハッキリしろって"……などと言ってくるので手に負えない。

一度、聖也と直人で浮気について真剣に話しあったことがあったけれど、いつまで経っても平行線だった。

『たまには寄り道したっていいじゃん、バレなきゃ誰も傷つかない訳だし』

『100パーバレない浮気はないだろ。それで本気で傷つくやつだっているんだぞ』

『それ言われたらね~(笑)』

あの時は笑ってかわしたけれど。



浮気は良くないという気持ちは一応根本にはある。



(それでも………)



直人が許さなくても。



(それでも俺は………)


聖也はギュッと岬の手を握った。


(彩香を手放したくない)