「木内……話あんだけど」

昼休み、トイレから戻ったキノは、りょうから声をかけられた。

「木下なんだけど」

「ついて来て」

ツッコミは軽くシカトされた。

腕をつかまれ、人通りのほとんどない屋上前の階段に連れてかれた。

「さっき、何であんなことしたの?」

「あんなこと…」

「小椋の授業だよ!あの時に鳴ったのは……あんたのじゃないでしょ」


りょうは少し怒ったように問い詰めた。

「誰かわかるの」


「……………ミカ」

「あ…そうだったんだ」

そこまではわからなかった。

「………なんで木内だけこんな事に」

「木下だってば。別に、犯人は広瀬じゃないって思ってたし、まぁ広瀬だったとしても俺は同じことをしたけど」

りょうはポカンと口を開けた。

「………なんで?」

「俺、広瀬みたいにケータイに依存してないし。俺はケータイがなくてもそんなに困らないけど、あんたは困るだろ?」

「……………」

りょうは黙って階段を降りて行き、1階下の廊下の窓を開けた。

キノはりょうの意図がわからず、とりあえず追いかけた。