りょうは電源の切ってあるケータイを机に叩きつけ、小椋を睨んだ。

「………ふん。相変わらず、口の汚い奴だ。"わかりました"だろうが!!」

「…っ、わかりましたよ」

小椋はりょうのケータイを持って、窓を開けた。

「ちょっ……何すんの?!」

思わずりょうは小椋の腕を押さえ込んだ。

「離せ。学校にケータイを持ち込んだ罰だ」

「私じゃない!やめてよ!!」

りょうは涙目だった。

そんなりょうの様子にクラスの生徒たちは同情気味だったが、あの小椋に逆らう勇気はない。

「先生、広瀬さんは違います」

誰かが手を上げて発言した。

小椋の手はピタッと止まった。

「広瀬さん、授業始まる前に電源切ってるの…俺、見ました」

そう発言したのはキノだった。

「………じゃあさっき鳴ったのは誰のケータイなんだ?」

「俺です。ほら…」

キノは小椋に自分のケータイを開いて見せた。

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「………ふん」

キノのケータイは小椋によって窓から投げ捨てた。