「一応、修理とか見せたら??」

「えー、でもさぁ修理って預けたりしなきゃいけないじゃんねー。りょうケータイ依存症だから無理!」

「確かに、りょう一日中ケータイいじってるもんね(笑)」

ガラッと、開いたドアの向こうから数学の小椋が顔を出した。

騒がしい教室が急に静かになり、りょうとミカは急いでケータイの電源を切って机の中にしまい込んだ。

基本、教師の注意など包み紙にくるんでその辺に投げ捨てるような問題児たちも数学の小椋には警戒していた。

嫌らしい性格に加え、生徒指導部というポストについているということもあり、なめてかかると容赦のない鉄拳がとんでくる。

今はまだ温厚になった方で、昔、小椋に殴られてアゴが外れて病院送りになった生徒もいたらしい。

「……問い2、わかるか。風間」

「んー……χ=3?」

「そうだ。この式は……」

普段は教科書など開かない聖也も真面目に取り組んでいる。

「…………♪」

ちゃんと正解した聖也はりょうにウインクして見せた。