「…………」

「ヒノケン」


また先ほど蹴ったゴミを追いかけて、また遠くへ蹴り飛ばした。

「俺、あいつそこまで追いつめられてるって知らなかったしさ」

「…………うん」

「前もってわかってたら…もっと気の利いたこととか…言えたかもしんないし」

自分で言ってて、惨めな気持ちになってきた。

「優しくしてたじゃん、ヒノケンは」

「偽善者とか言われちゃったけどね(笑)」

「あの子はそんなこと思ってないって。俺も思ってないし。誰に言われたか知らないけど、そいつが人に優しくできないから、ヒノケン妬んでるだけだよ」

キノの言葉は、波のようだ。

向こうから打ってきて、引いていく。

ヒノケンの乾いた砂浜のような気持ちに、よく染みた。

「……うん」

「大丈夫?」

「うん、結構…今のキノよかった(笑)」


キノは少し笑った。

「合コン…はすんの?」

「する。一度、約束したし」

「伊澄ちゃんは…?」