「えっ、いいの?伊澄ちゃん」

「何で私に聞くの(笑)誘われなかったら、水澤くん…悲しいでしょ?行ってきなよ、お酒はダメだけど」

伊澄の本心としては、決して行って欲しくない。

しかし、自分の気持ちが原因でヒノケンたちに揉めてほしくないし、もし……合コンで直人に彼女が現れたら、この曖昧な気持ちにも踏ん切りがつく。

「何かよくわかんないけど、伊澄ちゃんもそう言ってるしさ」

キノは気楽そうにヒノケンの背中を叩いた。

「んー……」

「何悩んでんの、さっきから」

いまいち煮え切らないヒノケンの様子に、キノは眉を寄せた。

「あ、じゃ伊澄ちゃんも来ない?」

「………え?」

「何、言ってんの!合コンに教師連れてくって……!」

無茶な提案をするヒノケンに、キノは怒鳴りつけた。

「そ、そうよ!行かないわよ!」

(本当は気になるけど~)

本心と言葉は裏腹だった。

「あー……じゃさ、合コン前に……伊澄ちゃん、1回メシでも食いにいかない?」