数日前。

噴水前の岬を発見した聖也は、その場にしゃがみこんだ。

「ちょっと?!」

岬は聖也に駆け寄った。

「あー…もう…いたのかよ…」

「そっちが来てって言ったんじゃん!」

指差してきた岬に、聖也は立ち上がって言い返した。

「来ないかと思ったし!!」

「え……」

「ずっと……待ってようと思って…」

声が少し震えてきた。

「いや…いきなりだったし…迷ったけど……何か、聞きたいこととかあるのかなって」

「聞きたいってか…謝りたかった、ずっと」

「…………」

気まずそうに目を伏せる岬の長い睫を見つめた。

「裏切ってて、ごめん」

「………裏切りって…二股のこと?」

今度は、岬の声が震えていた。

「おう」

「別に……そんなこと……気にしてないよ」

と言いつつも、とても"気にしてない"様には見えなかった。

「俺、あの頃彼女いたけど……彩香がどうしても欲しかった」

「……………」

「本気で、彩香が大好きだった」