ちぃは90度くらい深々と直人に頭を下げた。

「いや…別に」

そんなに謝られると逆に困る。

「嫌な思いさせて……」

「嫌な思いは……………したけど」

「ごめんなさいっ」

ちぃはまた一段と深く頭を下げた。

「違うって。俺がムカついてんのはラクガキした奴に対してで…あんたじゃねーから……別に気にしなくていい。くだらんガセ書きやがって」

言いながら、ラクガキ犯への怒りがこみ上げてきた。

「……ノート、見てないの?」

「ノート?」

どうやら直人は、ラクガキの内容は完全に嘘だと思っているようだった。

ノートがクラスで回し読みされていたから、直人はとっくに目を通しているかと思っていたが、そうではなかったらしい。

「……っ、ごめんなさい」

「だからあんたは…」

「事実なのっ」

ちぃの言葉に、"悪くない"と続けようとした直人の口がとまった。

「マンガ……書いてたってゆうのは……本当なの」

「………そう」

直人はちぃから顔をそらした。