「優しくお願いしますっ!!」

「キモイって」

ふざけて敬礼ポーズをしたヒノケンは聖也に軽くどつかれた。

「いーなここ…涼しい」

聖也はそう呟いて、隅の長椅子に寝転んだ。

「お前、付き添うとか言って、サボるつもりだろ?!」

「違うよー俺、保健係りだもん」

「あっ…痛っ!」

消毒の痛みに顔をひそめたヒノケンのひざを、消毒液がつたった。

「ごめん、ちょっとつけすぎた…」

伊澄は消毒液を軽くティッシュで拭った。

「どうしたの、伊澄ちゃん。不調?」

「うん、なんか化粧にも気合い入ってないし…彼氏と何かあった??」

相変わらずホストばりの観察力で聖也がつっこんできた。

「別れた」

「えっ、何で??」

ヒノケンは目を丸くして叫んだ。

「おい、何でとか聞いたるなって。いろいろ大人の事情があるんだって」

(…たまにはまともなこと言ってくれるんだな)

「とゆーわけで、俺にしとけって笑!」

「え……」

肩を抱きよせて、聖也はウインクを送った。

「わ~!伊澄ちゃん、こいつだけは止めたほうがいいよ!二股かけるしっ!!」

「えっ…そうなの?」

伊澄に疑いの目を向けられ、聖也はへらって笑った。