ヒノケンは部活をサボって、ちぃに会いに行くことにした。

特に、伝えたいことがあるわけではない。

でも、なんだか会いたくなったのだ。

ちぃのケータイにかけると、ちぃはすぐに出た。

「おっす…どう体調?」

『んー…大分よくなったぞ』

寝起きなのか、ちぃの声はかすれていた。

「今から会えない?お前の家……つぼヶ丘あたりだよな、近くにきたから」

『えぇっ?!……あっ痛…』

慌てて飛び起きたのか、向こうでガタンと音がした。

「大丈夫か?」

『大丈夫だけど…今どの辺?』

「えっと…公園があるな。つぼヶ丘公園」

『じゃあそこ行くから、10分くらい待ってて』

「あいよー」

(俺…あいつに会って、何話すんだろ…)

20分経つが、ちぃの姿は見えない。

「おそいなー」

「ヒノケンー!!」

頭上からちぃの声がした気がして、ヒノケンは顔を上げた。

「ちぃ??」

ちぃは丘の上から手を振っていた。

「来てー!!」