「何だよ、仲間を悪く言うなってやつ?」

西田は冷静に返した。

「…んな中学生日記みたいな事は言わねーよ。正直、お前があいつ好きじゃないのもわかってるし……悪口だって自由だよ。けど、部室で言うことねーだろ」


「ついつい…言いたくなっちゃうんだよな…あいつ見てると」

「そんなの…外でも話せるだろ。部室なんか誰でも出入りできるし…もう少し気をつけろよ」

西田は面倒そうにため息をついた。

「悪かったって」

「本当にそう思うなら………謝ってほしい」

「だからごめんて」

西田は開き直ったように謝った。

「俺じゃなくてちぃに!」

「………何でお前はあんな奴かばうの?」

ヒノケンはつかんでいた手を離した。

「あんな奴って…」

「俺だって悪い奴だとは思わないけど……はっきり言ってあいつ見てるとイライラすんだよ」

確かに、ちぃは要領よくないし……悪く言ってしまえば"トロい"。

西田みたいな人間からしてみればイラつく気持ちもわからなくはない。