「は、鳴海?」

「そう。お前昨日部室で見たけど帰ったって言ってたじゃん。なんか、あいつが帰るとこ見たんだけど……なんか、泣いてるみたいだったから……なんか知らない?」

放課後。ヒノケンは西田を体育館の外に呼び出した。

「わざわざ呼び出すから何かと思えば…その事か」

「うん、何か知らないか?」

「あいつは何か言ってなかった?」

もしかすればヒノケンは全て知っていてカマをかけてるのかも、と思ったが、ヒノケンはそんな性格ではないなと思い直した。

「いや、なんも」

原因はあきらかだったが、西田は考えるフリをした。

「あ~あれが原因かな」

「あれ?!」

ヒノケンは食いついた。

「昨日、部室で1年の池田と林に鳴海どう思うって話して…」

「なんでちぃの話を?」

何でそこでちぃの話がでるのかわからなかった。

「何となく…で、評判よくないって話してたらあいつ部室に隠れていたみたいで…泣いて出てったよ」

「なっ……」

ヒノケンはちぃの涙の理由を確信した。

「盗み聞きなんてタチ悪いよな」

「お前らだろ!タチの悪いのは!!」

ヒノケンは西田につかみかかった。