ちぃを保健室に運び、ベッドに寝かせ、大分落ち着いた。


伊澄が保健室に戻ってきた。

「親御さん、迎えにくるそうよ」

「よかった」

伊澄の報告に、ヒノケンは胸をなで下ろした。

「鳴海さんは?」

「ああ、落ち着いて…寝たみたい」

ヒノケンはカーテンを指差した。

「そう…火野くんの処置が早くて、助かったわ」

二人の会話に、眠りの浅かったちぃは目を覚ました。


「いや…あの状況でできるのは俺だけだと思って……でも伊澄ちゃんがくるまで、めちゃ不安だった…」

ヒノケンは苦笑いしてみせた。

「そうなんだ」


「伊澄ちゃん…いてくれてよかった…あいつ死んじゃうかと思ったもん…」

「火野くんが助けたんだよ。正直…見直した」

大げさではなく、真剣にちぃの介抱をしているヒノケンは、とても格好良く見えた。

「でも俺リアルに手震えてんだけど(笑)」

「もう大丈夫だよ」

二人の会話に何故だか胸が熱くなり、ちぃの瞳からは涙が溢れた。

「……っ……」

「ん?」

カーテンの奥から、すすり泣くような声が聞こえた。

「起きたかな?」

ヒノケンはカーテンをのぞいた。