「ああ…だからもう連絡済んでるのかと思ってた…気にはなったけど、お前なにも言ってこないし、俺からも聞きにくいし……時間も経ってるから、正直、さっきお前に言われるまで忘れてたんだけど」

「ふーん…まぁ大体わかってきた」

「…薫ちゃん、なんて?」

直人は土屋に背を向けて歩き出した。



「………もう一度会いたいと」

「会うの?」

土屋は後を追いながら聞いた。

「誰が。断った」

「会うくらい…」

「だから…俺はそうゆうのが嫌いだって」

そう言った直人の脳裏に、聖也の姿が浮かんだ。



"アイタイ……"



「…?どうした?」

「…何でもない」

頭に浮かぶ聖也の姿をかき消すように、頭を左右に振った。

「とにかく、ごめんな」

「別に…俺は自分の大事な方、優先しただけ。正直…俺に言わせたら、つき合い記念日とかの重要性がわからんし」

「直人…」

土屋は苦笑した。

「元々、合わなかったんだって」