「いや、まぁ…けど…俺…知らなくて…」

土屋はバツの悪そうに頭をぽりぽりかいた。

「何を?」

「お前らが別れたの、俺のせいだろ?」

「はぁ?!」


元々、薫は土屋の知り合いだった。土屋の紹介で直人と知り合い、付き合うことになったのだ。


4ヶ月ほど付き合って…最終的に直人から別れを告げ、お互い連絡先も消すことになった。

直人の中では…とっくに吹っ切れたことであった。


しかし…


「一週間くらい前に…駅でたまたま薫ちゃんに声かけられて…話して、なんか…何で別れたみたいな話題になって……」

「…………」

土屋のしどろもどろな説明を、直人は冷静に聞いていた。

「お前、聞いても教えてくんなかったしさ…ちょっと気になってたし……」

「で?」

「記念日にデートしてたら、俺から直人に電話かかってきて…薫ちゃん放って俺んとこ来てくれて……」

直人は黙って聞いていた。

「………………」

「俺が…追試験の勉強わからなくて…半泣きで電話したせいでさ」