同時刻。

ガンッ

直人のクラスでは、落書きされた黒板に椅子が投げつけられた。


直人だ。


椅子は鈍い音をたてて、床の上で少し跳ねた。


「くだらねー事してんなよ」

直人の迫力に、他のクラスメートも居合わせた西田も何も言えなかった。

「直人…」

キノと土屋は心配そうな顔をした。

「土屋、ちょっと来て」

直人は土屋に手招きした。

「え、俺?」

「そう、俺」

直人はそのまま廊下に出た。

「言っとくけど、書いたの俺じゃねーぞ」

「んなのわかってるよ、あんなくだらねー事する奴の連れになんかなるかよ」

「じゃあ……何?」

てっきり疑惑をかけられていると思った土屋は、直人の思惑がわからなかった。

「お前さ、薫に俺の番号教えた?」

「あ?………あ、ああ」

土屋は"え、そんな事?"といった顔をした。

「なに勝手に教えてんだよ」

「勝手てか…薫ちゃん元カノなんだからいいだろ」

「元カノだから嫌なんだよ!俺がそーゆーの嫌いだって知ってんだろ!!」

直人は土屋を激しく怒鳴りつけた。