ヒノケンはちぃを抱き上げた。

「はっ……はっ」

ちぃはうつろな目でヒノケンを見つめ、涙を流した。

「呼吸……しにくい?」

ちぃはこくこくと頷いた。

「ちょっと待って…!お前、伊澄ちゃん呼んで!!」

ドアの近くに立っていた男子に指示をだし、ヒノケンは急いで自分のカバンを開けて、コンビニ袋を取り出した。

登校途中に買ったパンやお菓子を床に出し、袋の口をちぃに当てた。

「おい…これって……?」

医学的な知識がそれ程なくても…大体わかってきた。

「過呼吸だよ」

ヒノケンは冷静に答えた。

「え、こいつ喘息持ちなの?」

「つーか前に、合宿のときになったんだ。1度なると…クセになるらしい」


ちぃは少し呼吸が楽になったのか…何か言いたそうだった。

「どうした……?」

ヒノケンはちぃの口元に耳を近づけて、優しく聞いた。

「………っの……と」

「ノート?」