「不思議な店だなーって思って」

「ああ、雑貨屋っぽくないからか?」


言われ慣れてるのか、里村葉は納得したように軽く笑った。


「元々は文房具屋だったんだよ。この辺は学校が多いから、昔から学生御用達みたいな感じでさ。奥には体操服とか上靴もあるんだぜ」


そう言ってカウンターの奥にある小さな戸を指先で叩く。

あたしはそれに「へえ」とうなずきながら、ふと家の方にある文房具屋を思い出した。


そういえば小学校も中学校も、近くに必ずそういう店があったっけ。

まあ、どっちも普通のオバサンがやってる地味な店だったけど。

だからノートとかは他の所で可愛いの買って、学校指定の物だけをそこで買ってたな。