「卒業制作にみんなでデカイ絵を書くんだー。俺はちょうど森のところだから、緑ばっかりなくなるんだよね」

「なるほどな。と、なるとコバルトグリーンだけで足りるか?」

「どうだろ。黄緑っぽいのも少なかったかな……」


そう言って首を傾げる男の子に、隣にいる友達は「買っとけば?」とうながした。


「これから毎日使うんだから、たぶんすぐなくなるよ」

「うん、そうだな。じゃあ葉兄ちゃん、こっちのも一緒に買うよ」


里村葉の手の中をのぞきこんだ男の子は、黄味の強い明るい緑を指差した。

それに「オッケー」と返した里村葉がレジの中に戻ってくる。

カウンターの下には色とりどりの袋があって、彼はその中の小さな青い袋に絵の具を入れて男の子に手渡した。