しゃららん、とまた扉のチャイムが鳴る。


「葉兄ちゃん!」


そんな呼びかけと共に小学生の男の子が三人、ばたばたと元気よく飛び込んできた。


「おう、いらっしゃい。どうした?」


レジカウンターから身を乗り出すみたいにして、里村葉が近づいてくる男の子たちの顔をのぞきこむ。

顔なじみなのかな。今までよりもずっと柔らかい声。


「ねえ、絵の具ってある? 緑のやつ」

「んー、緑ったって色々あるだろ。濃いとか薄いとかさ」

「えぇ~? 濃いのかな……ってか普通? 二十四色のやつで、青っぽい感じの……」

「あー、コバルトグリーンか? 待ってろ、今ケース開けるから」


そんなことを言いながら、里村葉はカウンターの引き出しから鍵を取り出して、男の子たちの方へと歩いていく。

なにげなく見送ったその先には大きなガラスケース。

そこにはいかにも小学生が使いそうな画材や書道用品なんかが並べてあった。