「…………それだけチョコ貰っといて、どの口がたぶらかしてないとか言うわけ?」


あ、目逸らした。自覚はあるわけね。

まあ意識的にたぶらかしたわけじゃないんだろうけど。

でもその顔は反則っていうか、ある意味凶器だと思う。うん。


「ま、あたしには関係ないけど」

「お前、ドライだな」

「興味ないもん」


この人が女の子にチヤホヤされたところで、あたしに害があるわけじゃない。

ただ亜紀にとっては手ごわい相手だろうなー、なんて。

他人事みたいにそんなことを思って、あたしは里村葉から視線を外した。