でも智彦は女の子に人気があるから、あたしって彼女がいても色んな子から告白されたりしてて、誰かに奪われるんじゃないかっていつも怖かった。

だから智彦の好みに合わせてオシャレを覚えたり、求められればキスもそれ以上のこともちゃんと応えてみせた。


だってそうしないと、あたしみたいに特別可愛いわけじゃない彼女なんてすぐに捨てられると思ったから。


何しろあたしは平均より背が高いし、顔は男顔だし、胸は小さいし。

それでも化粧して髪を伸ばしてからは少しマシになった、と思う。

……身長と貧乳だけは努力でどうにかなるもんでもないけど。


そんな努力の結果、智彦の彼女としては最長記録のお付き合いを続けてたのよね。

今まで一ヶ月であきていた智彦が、四ヶ月も同じ女の子と付き合ってるなんて奇跡みたいなものだった。


だけど十日くらい前からかな、いきなり智彦が素っ気なくなった。

ていうか上の空っていうの?

あたしといてもぼんやりしてたり、放課後のデートも断られたりして、あたしは突然のことにものすごく不安になった。


まさか、って思ったんだ。

まさか智彦は、あたしに、あきちゃったの? って。