「そう言うな。お茶ぐらい出してやるから」

「いらないわよ。どうして雑貨屋でお茶なわけ?」

「ここの裏が家だからな。知り合いが来た時とかに、奥で入れてきたりするんだ」


のどかな店だなあ。

っていうか、すでにあたしも知り合いのカテゴリーに入っちゃってるの?

せいぜい一回か二回、顔をあわせただけなのに?


ま、客商売してる人だから、こういう愛想の良さは身に染み付いちゃってるのかもしれないけど。

お店をやってる人って、人の顔とか名前を覚えるのが早いって言うし。


そう思ったら抵抗するのが無駄に思えてきて、あたしは大人しく里村葉の腕に従うことにしたんだけど。