「ここに用があるのはあっち。あたしじゃないの。だから離して!」

「じゃあ付き添いついでに考え直せ」

「嫌よ!」

「さ、お友達もこちらへどうぞ。ゆっくり見ていってください」


ぴっかぴかの笑顔でそう言った里村葉に、亜紀たちはうっとりして「はぁい」なんて良い子のお返事をしてる。

営業スマイル、恐るべし。

しかも亜紀たちを押さえられたら、あたしに逃げ場はないわけで。


「……だから来たくなかったのに」


そんな呟きと共にこぼれたため息に、里村葉は小さな笑い声を返してきた。