「やっと来た! ようやく受け取る気になったのか……って、ええと、名前なんだっけ?」

「一生知らずにいてください」


あたしはさっくりとそう切り捨てて、そのまま帰ろうと踵を返した。

だってホントに苦手なんだもん!


なのにドアへと手を掛けた瞬間、後ろからがっちり肩と腕を掴まれて逃亡は未遂に終わった。


「こら、逃げるな。せっかく来たんだから、ゆっくりしていけ」

「ちょ、ち、違うってば。あたしはアレを貰いに来たんじゃなくて、友達の付き添いで……」

「付き添い?」


違うって言ってるのに、里村葉は肩を掴んだままぐいぐい店の奥へと押し込んでくる。

っていうかさ、なんでそんなに馴れ馴れしいのよ。

あたしは必死に抵抗しながらも、入り口近くでぽかーんとしてる亜紀たちを指差した。