里村葉はやはり美しい男だった。


そこそこ広い店内の、ちょうど真ん中あたり。

ディスプレイを直してたのか、その両手には色とりどりのブックカバー。

でもそんな姿でさえサマになっていて、その証拠に彼の周りには数人の女子高生が鈴なりになってる。

そんな華やかな群れの中、驚いたようにあたしを見ている里村葉。


う、わー。帰りたーい。


そう思った瞬間、彼はぱぁっと表情を輝かせた。

そしてブックカバーを棚に押し込むと、女の子たちの隙間を縫ってこっちにやって来る。