「じゃあ、行こっか。なんか緊張するけど!」

「亜紀、女は度胸よ!」

「うん、頑張る!」


知世と二人でぐっと拳を握り合うと、亜紀は先頭に立って店のドアを開けた。

しゃららん、と軽やかにウィンドチャイムが鳴り響く。


「いらっしゃいませー」


当たり前のように聞こえてくる店員さんの声。

一人は店の奥のレジでお客さんの相手をしている女の人。

っていうか多分あたしたちと年は変わらないと思う。バイトかな。


そしてもうひとりは……。


「あ」


思いっきり目が合った。

つやつやと潤んだように光る真っ黒な瞳。

隣で知世と晴香が「うわぁ」と小さく声を上げる。