「独り身のメイさん、ちょっとご相談が」

「独り身言うな。……なに、相談って」


余計な一言に突っ込みながらそう聞くと、亜紀はまるで拝むようにして顔の前で手を合わせた。


「あのさ……放課後、チョコ渡しに行くのついてきてほしいんだけど」

「は?」


え、保護者同伴ですか。

って、別にあたしは保護者じゃないけど。言葉のアヤってやつよ、うん。

と、思わずどうでもいいことを考えるくらいには驚いた。


「や、ついてくのはいいけど、あたし邪魔になったりしない?」

「しないしない。っていうか、一人じゃちょっと勇気がいる人なんだよね……」

「え、東高の人でしょ? サッカー部のキャプテン」

「…………今はその人じゃないの」

「「「はああああ!?」」」


あたしの声に知世と晴香の声まで重なった。

教室中の視線がこっちを向いた気がするけど、そんなことになんて構ってられない。