救いを求めて晴香の方を見たけど、彼女はマーブルケーキをかじりながらそっと目を逸らした。

ひとりだけ逃げる気だよ、この人!


しかも知世と亜紀までが彼女に倣ってマーブルケーキに手を伸ばした。


「メイさんのケーキはこんなにステキなのにねぇ」

「味も絶品なのにね。これを食べれば男なんてイチコロよ」

「ホントに。お菓子だけじゃなく料理も上手で、とっても女らしいメイさんなんですけど……」


芝居がかった口調でそんなことを言い交わした二人は、最後に顔を見合わせて同時に口を開いた。


「「男運と胸だけはないのよねぇ」」

「胸は余計でしょうが!!」


人が気にしてることを!

けらけら笑ってる二人と一緒に、顔を伏せた晴香まで肩ふるわせてるし。明らかに笑ってるよね、これ。

まあ、男運のなさは認めるけどさ。