「ねえ、同じ材料使ってんのに何でこんなに違うわけ?」

「それは亜紀の腕が悪いから」


目の前では何やら亜紀と晴香が不毛な会話を交わしてる。

いつにも増してお祭り騒ぎな昼休み。

あたしの机の上には、みんなで持ち寄った友チョコが並んでる。


マーブル柄のバターケーキ、可愛いポットに詰められた星型のチョコレート。

あとは手作り感いっぱいのトリュフと謎の黒い物体。


そう、謎の物体。


そしてそれを取り囲んでるのは、いつも一緒にいる三人のクラスメートだ。


そもそもの始まりは、晴香が自分の彼氏に初めての手作りチョコをあげるって話から。


晴香はあたしたちの中でいちばん大人びてて、もう付き合って半年になる大学生の彼氏がいる。

で、今回は初めてのバレンタインだから手作りにするって言ってたんだ。