「お前な……、ああ、クソ。これだから頭の悪いガキは嫌なんだ!」

「ガキで悪かったわね! 何も知らないくせに勝手なことばっかり言わないで!」


ここが道のど真ん中ということも忘れて、あたしは思わず大声で怒鳴り返した。


前言撤回。優しくないわよ、この男!

口は悪いわ気は短いわ、美形なだけに睨んでくる顔は迫力満点だわ。

しかも言ってることは正論だから、余計に腹が立つのよ!


……そりゃあね、客観的に見れば完全にあたしのワガママでしょうよ。

こんな風に駄々をこねるなんて、子供以外の何物でもないかもしれない。


でも、あたしの中には割り切れないものだってあるの。

正しいことを正しいって、認めたくないこともあるの。


だから相手の気迫に押されながらも、あたしは負けじと相手の真っ黒な目を睨み返す。