「あたしは今日フラれたんだっつーの! つくならもっとマシな嘘つけ馬鹿野郎!」


バシンと叩きつけるようにオッサンの腕を振り払って、あたしは今度こそ駅に向かって勢い良く歩き出した。

後ろからオッサンが何か言ってるみたいだけど、完全に無視して足を速める。

ガッツガッツとローファーが荒っぽい音を立てた。


せっかくケーキをヤケ食いしたり、カラオケで歌いまくったりして頭空っぽにしてたのに、あのオッサンのせいで思い出しちゃったじゃない。

じわり、と止まっていたはずの涙がまたにじんでくる。


そう、あたし西原芽衣は、今日彼氏に振られました。





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