…………なんてうらやましい。


あたしなんて一週間経った今でも立ち直れてませんけど。

思わずこぼれたため息に、知世がちらりと視線だけを上げてきた。


「無理にとは言わないけど、メイも早く忘れた方がいいよぉ? もうすぐバレンタインだしさ、いろいろ盛り上がるじゃん。なのに山崎なんかに振り回されんのも悔しいっしょ?」

「うん、わかってはいるんだけどね……」


そう言ってあたしは曖昧に誤魔化した。

死神サマの言うとおり、自然に任せようって決めたから。


だって同じ学校だしクラスも近いから、廊下歩いてるだけですれ違うんだもん。

そんな状況で忘れろって言う方がムリ!


だってこの一週間、気がつくと智彦を探してた。

あいつはもうあたしのことなんて見ないってわかってるのに、それでも。


日常のあちこちで見かける智彦は、いつもと同じように笑ってた。

そばには今まであたしがいたせいで近づけなかった女の子たち。

智彦の日常は何も変わってなかった。あたしがいても、いなくても。


くるしい。