そして何かを思い立ったように車内を見回すと、鞄のポケットからタロットカードを取り出した。


「じゃあ元気が出るように、今回は特別サービスで何か占ってあげるよ。こんな場所だから、すごく簡単なものになるけど」


死神サマからの意外な言葉に、あたしは驚いて思わず身を乗り出した。


「え、ホント? 何でもいいの?」

「ひとつの恋に占いは一回というのが僕のポリシーだから、山崎君とのことは無理だけどね。それ以外のことなら何でもどうぞ」


そう言ってタロットを軽くシャッフルする死神サマに、あたしはあっという間にテンションが上がってしまった。

だって死神サマに占ってもらえただけで、みんなから羨ましがられたくらいなんだよ。

特別サービスなんて、レア中のレアだって!


「わ、どうしよう。すごい迷うんだけど!」

「周りに人もいないし、ゆっくり考えていいよ」


さっきの駅でかなり人が降りてるから、同じ車両には離れた所に座る数人しかいない。

ついでに列車もがたごと揺れてるから、大きな声じゃなければ話を聞かれることもないと思う。


よし、ここはお言葉に甘えさせてもらおう。