「うん、僕は占いからそう答えを出した」


くしゃくしゃとあたしの頭を撫でた死神サマは、その骨っぽい手で膝の上の鞄を叩いた。

そのポケットにはタロットが入ってることを、あたしは知ってる。


「タロットは占い師の読み方によって結果は違ってくるものだけど」


そう言ってこちらを振り返った死神サマは、長い前髪の下の唇を少しだけ微笑ませた。


「変わらないこと、というのは占いの結果に関係なく大切なことなんだよ」

「だけどそれも時と場合によらない? ずっと子供みたいだったらおかしいでしょ」


高校生にもなって、おままごとみたいな恋なんて嫌すぎる。

周りに何か言われたくらいで壊れるようなものじゃなくて、好きなら好きってちゃんと二人の気持ちを伝え合えるような恋がいい。


だけど死神サマはあたしの言葉に「そうだね」と頷いた。


「年齢や環境によって変化していくのは悪いことじゃない。それは必要なことだから。だけど自分の本質を曲げてしまってはいけないんだ」


わかるようで、わかんない。

そんなあたしの気持ちが伝わったのか、死神サマはくすりと小さく笑った。