「あたし、結構がんばったと思うんだけどなあ……」


頭に乗せられたままの死神サマの手。

あったかいそれにちょっと気がゆるんで、ぽつんとそんな弱音がこぼれる。


学校の友達に死神サマを紹介された夏の終わり。智彦とどうやって付き合えば上手くいくのか占ってもらったんだっけ。

それから四ヶ月。会うたびに近況報告してたから、死神サマはわたしの恋の一部始終を知ってる。

友達にも言えないような本音もこの人にだけは言えたから。たぶん誰よりも詳しく。


だからかな、死神サマの前ではいつも強がれない。


「あーあ、何がいけなかったんだろ」

「もしかしたら頑張りすぎたのかもしれないね」


独り言みたいな呟きに、死神サマは静かな声でそう返してきた。

さらっとした声なのに冷たくない。だからといって優しいわけでもない。

でも何だか心が落ち着いてくる不思議な声。