「あ……っ!」
周りなんて見ずに走ってたら、ふいに誰かと正面からぶつかった。
驚いたような声に「すみません」って言おうとしたけど、口を開いたらしゃくり上げてしまうような気がして、あたしは無言のままただ頭だけを下げる。
だけどぶつかった相手はそのまま去ろうとしたあたしの腕を掴んできた。
「メイ?」
そう名前を呼ぶ声に聞き覚えがあった。はっとして顔を上げる。
いつの間にかたどり着いていた駅の前、その建物からこぼれる白い光に照らされていたのは違う学校の男の子。
明るい紺色のブレザーに黒っぽいチェックのズボンは有名な進学校のものだ。あたしの知り合いでこの高校に通ってるのはひとりしかいない。
ひとつ年上の、この人しか。
周りなんて見ずに走ってたら、ふいに誰かと正面からぶつかった。
驚いたような声に「すみません」って言おうとしたけど、口を開いたらしゃくり上げてしまうような気がして、あたしは無言のままただ頭だけを下げる。
だけどぶつかった相手はそのまま去ろうとしたあたしの腕を掴んできた。
「メイ?」
そう名前を呼ぶ声に聞き覚えがあった。はっとして顔を上げる。
いつの間にかたどり着いていた駅の前、その建物からこぼれる白い光に照らされていたのは違う学校の男の子。
明るい紺色のブレザーに黒っぽいチェックのズボンは有名な進学校のものだ。あたしの知り合いでこの高校に通ってるのはひとりしかいない。
ひとつ年上の、この人しか。