でもこういうのを作れるってすごい。

今まで完成品しか意識したことなかったけど、よく考えたらこういうのをデザインする人とか作る人とかが当然いるのよね。

そりゃあ自分が一生懸命作った作品を粗末に扱われたくないわよ、うん。里村葉の言ってることは正しい。


思わずまじまじとネックレスに見入ってたら、里村葉は少しだけトーンの下がった声で笑った。


「うちの奥さんがこういうの好きだったんだ」


さっきまでと違う気配を感じて、ふと顔を上げる。

見つめ返した里村葉の顔は確かに笑ってたけど、その真っ黒な目はいつもよりずっと沈んだ色をしていた。


ここじゃないどこかを映してるような、不安定な瞳。