「ま、でも俺的にああいうのを捨てるのは罪悪感あるから、とりあえず預かってることだけ覚えててくれ」

「それ、この間も言ってたよね」

「自分が作る側だとそうなるんだって」

「え、作るって……ああいうアクセサリーとか?」


予想もしてなかった言葉にそう問い返すと、里村葉はコーヒーを一口飲んでから「おー」とうなずいた。


「趣味半分、仕事半分ってところか。店にも置いてあるぜ」

「あ、この間知世たちが見てたやつ?」

「そう。あの辺もそうだし、あと知り合いに頼まれて作ったりとか」

「このネックレスも葉くん作なのよ」


そんなことを言いながら、千夏さんが首もとの二連ネックレスを指先ですくい上げる。

ローズとモーヴが優しい印象の、シンプルで大人っぽいパールネックレスだ。

さすがにあたしみたいな高校生には似合わないだろうけど、こういう『エレガント』って感じのアクセサリーは憧れるわ。