「葉が珍しくご執心だったからねー。お前、こういうタイプに弱いもんな」

「誤解を招くような言い方するなよ。俺としては普通に反応を返してくるのが新鮮だっただけだ」


自分で言うのもなんだけど、あれって普通の反応?

二人のやり取りを聞きながら思わず首をかしげてると、千夏さんがそれに気付いて意味を説明してくれた。


「ほら、葉くんってこの顔でしょう? 大抵の女の子は笑顔ひとつでころっと参っちゃうの。だから葉くんにとって、顔に左右されない女の子はすごく貴重なのよ」

「いえ、あたしもびっくりしましたよ。ただ、それ以上の問題があったからそれどころじゃなかっただけで」

「そう、そこなの。あなたはこの顔にだまされなかったでしょう?」


そんな身も蓋もない言い方に、里村葉は子供のように唇をとがらせた。