「あれ、何の騒ぎ?」


ふいに隣から聞き覚えのあるのんきな声がした。

はっとして振り向くと、そこには小さな子供を連れた男の人が。


きょとんとしたつぶらな瞳、小作りで人の良さそうな顔。

全体的にふわんとした雰囲気のその人は、街中で里村葉と再会した時にいたオトモダチだった。


「ええと、確かミナトさん、でしたっけ?」

「あれ、いつだったかの子だ。えーと、メイちゃんだっけ?」

「あ、はい。西原芽衣です」

「葉から話は聞いてるよ。あ、俺はコモリミナトっていうんだ、よろしくね」


ミナトさんがあんまりのほほんとしてるから、あたしもつられて普通に自己紹介しちゃったわよ。

あたしたちの間にだけほのぼのとした空気が流れてる。あれ、どんな状況なのこれ?

そうしたら大騒ぎしてた二人もミナトさんに気付いたみたいで、同時にこっちを振り返った。