智彦に続いて今度は里村葉。何の厄日なのよ、もー。

そんなことを思ってたら、里村葉はいかにも作り物っぽい笑顔を浮かべた。


「君ね、考えてることが全部顔に出てるんだけど」

「ああそう、説明する手間が省けて良かったわ」

「うっわ、可愛くない」

「お褒めにあずかり光栄ですぅ」


にっこり笑いながら、お互いに皮肉の応酬ですよ。

これがいい年した大人と女子高生の会話かっての。ありえない。

だけどいつもなら泥沼化するやり取りが、今日は横合いから聞こえてきた可愛らしい声にぴたりと途切れた。