後ろ手に扉を開ける。廊下の冷たい空気が背中を撫でて身体が震えた。

あたし今、うまく笑えてるかな。


この間の別れは泣き顔だったから、今度はちゃんと笑顔でいたい。

腹が立ったのも確かだけど、いちおう楽しい思い出もたくさんあるから。


「……、……ごめんね」


ホントにごめん。

心の中でもう一度そう謝って、あたしは空き教室を後にした。

扉を閉めて、人気のない廊下を歩き出しても、背後の教室は静かなままだった。