だけどこれはあたし自身がまいた種。

ずっと言いなりになってたあたしが悪いんだもん。

それなら自分で刈り取って、決着をつけなくちゃ。


あたしはぐっと拳を握りしめて、うずくまってる智彦を見下ろした。


「やり直す? そんなの無理よ。いきなり別の人を好きになったとか言って、その人に振られたら捨てた女になぐさめてもらおうなんて、そんなのは虫が良すぎるでしょ。あたしはもう、あんたのことなんて信じられないし、振り回されるのもうんざりなの」


できるだけ冷静に、それでも一気にまくしたてる。

さすがに腹を立てるかと思ったけど、顔を上げた智彦はぽかんと口をあけただけだった。

まるで何を言われたのかわかんないみたいに、ぱちぱちと大きく瞬きを繰り返してる。


あたしはその様子を見つめながら大きくため息をついた。