「やっぱり俺のことわかってくれるの、メイだけだ」


つぶやくような声。

おそるおそる見上げた顔は逆光のせいで暗く沈んでる。

なのにくっきりとした瞳だけは強い力をにじませて、まっすぐにあたしのことを見つめていた。


動けない。

つかまれた腕とからんでくる視線に縛られて、あたしは少しずつ距離を縮めてくる智彦を呆然と見上げることしかできなかった。


「なあ、俺たちやり直せないか……?」


この人、何言ってんの?

そう思うのに、声が出なかった。