壁際に寄せられた机に腰を乗せて、智彦が窓の外へと目を向ける。

その横顔は今まで見たことがないくらい沈んで見えた。


「……『あなたのアクセサリーになんかなる気はない』ってさ」

「え？」

「加藤さん。最初は誰とも付き合う気はないって言ってて、それでも諦めずに口説いたら、最後にそう言われた」

「ああ……そういうことね」


それは加藤さんが正しいわ、うん。

きっと智彦が女の子を取っかえ引っかえしてることを噂で聞いてて、それに対するきっつい皮肉なんだろうな。


冷たいとか澄ましてるとか言われてるけど、それは見かけや流行に惑わされないってことでもある。

そんな子がよく知りもしない、しかも軽いタイプになびくはずがないのよね。