二人きりの空間がしんと静まり返る。

放課後だから、壁の向こうのざわめきもぼやけるように遠い。


あたしの言葉に目を見開いた智彦は、何か言おうとするように口を開きかけた。

だけど二、三回開けたり閉じたりを繰り返して、結局は何の言葉もないまま唇を結んだ。


いつも子犬みたいだと思ってた目が揺れて、きれいな眉毛が情けなく下がって。

完全に途方に暮れた顔。


「……そう、だよな。俺が悪いんだよな」


そう呟いて智彦がしょんぼりと肩を落とす。

どうしたの、この人。元気だけがとりえなのに今日は絶不調じゃない。