だって、どうしてこんなに苦手なのか自分でもわかんないんだもん。

胸の奥にもやもやしてるものはあるけど、どうしてもその形がはっきりしないんだ。


だけどあのつやつやした黒い目は、やっぱり怖い。

……なんだか吸い込まれそうになるから。


「ま、世の中には天敵の一人や二人いるってことよね」


あたしはざわめく心を抑えながら、それを誤魔化すように里村葉の話題を打ち切った



ああもう、あの人の話って無駄に緊張するわ。