「この間、メイを怒らせちゃったのが引っ掛かってるみたいだよ。あと預かり物とね」

「……ヘアピンのこと? すごく今更すぎてどうでもよくなってるんだけど」


っていうか、それこそホントに記憶の彼方だったわけで。

とにかく会いたくないっていうのが先に立っちゃって、その理由をすっかり忘れちゃってたわ。


「まあ、メイはそう言うと思ったんだけどさ。でもいちおう伝えておくって約束したから、とりあえず言っとくね」

「うん……いちおう了解したわ。でもあの店には行かない方向でよろしく」

「あれだけの美形を前にして、ここまで嫌がるっていうのも珍しいよね」


駄々っ子みたいなあたしに、亜紀がそんなことを言いながら苦笑する。

だけどあたしはその疑問に答えることなんてできなかった。